2005年06月05日

使いにくい機械は要らない

 今日は少し携帯屋へ立ち寄ったんですが、スライド式や折りたたみも大層凝ったデザインで、まぁその良し悪しはともかく。

 どれもこれもひどく使いにくい。
 なかには親指の第一関節から先だけで1から9までのボタンが大方うまってしまうものもありました。
 メールが打てない。

 ななめドラム(洗濯機)なんかもそうですが、少しはデカい人間のことも考えてくれないですかね。とはいっても私が格別デカいわけではありません(から、なおさら考えるべきだと思う)。みんな使いやすいなんてウソです。
 ああ、ちょっとすっきりした。

 最近コメントをよく頂いてるので良い気になって書きますが。
 着せ替えケータイやら、きらきらしたシールやら、着うたやら、あるいはそれらを組み合わせて、他人と違うものにすれば個性的だと考えるのは間違いです。
 これは推測ですが、そういうことに「個性的」であろうとする人が求めているのは恐らくアイデンティティだと思われます。しかし、そんなことでアイデンティティは得られないという意味です。

 今や空前の恋愛ブーム(もはやブームでは済まない)で、二十歳過ぎて今まで一度も彼氏(彼女)いないと言うと、人より下に見られるということがほぼ通用してしまっています。(それはマスコミの思想統制ですが今それは問題にしない)
 これを理屈で説明するとすれば、アイデンティティが確立されていないと見られるから、くらいしか思い浮かばない。(もちろんそれも言うまでもなく偏見ですが)
 たしかに恋愛は一番手っ取り早くアイデンティティをこしらえることができます。「世界であなたしかいない」と囁いてくれる(かどうかは知りませんが)相手がいるわけですから。それに何かしら甘い経験も伴うわけですから、マスコミ云々以前に若者にとって魅力的であることは間違いない。
 社会学者みたいな物言いをすれば、現代の若者は恋愛でしかアイデンティティを確立することができない。だから恋愛未経験の人間をアイデンティティを確立していないものとして蔑む、ということでしょうか。この前提として、アイデンティティは(人生の早い段階において)ある程度確立されなければならないという価値観が不可欠なのですが、それがなぜなのかは、私にはわかりません。(考えてみたい方はこちらを参照)どちらにしても、そもそも恋愛未経験者がなぜ「モテない」などと称されて蔑まれるのかが私には理解できないですしね。

 個性とアイデンティティとでは指す意味に違いがあるのは当然ですが、自分の代わりなどいくらでも利く現代(島田紳助が活動自粛したときに、彼のレギュラーの番組を代役が事も無げにやってるのを見たときはさすがにショックだったが)において、自分でなければならないものがないと生きていけないというのは、理屈では分からなくても感覚で分かります。そこから他人と違うものを求める発想にたどり着くというのも、これまた論理的ではありませんが経験則で分かります。その需要に応えて商品化されたものが着せ替えケータイであり、シールであり、着うたであると。それが携帯の本体にまで反映されて、あんなけったいな形のものが次々と工場のラインから作り出されてくるわけです。

 「そんなものには乗せられないぞ」という人間の方が個性的だと私は思うのですが、どうでしょうか。
 私は自分にとって使いやすいものを作ってくれればそれを買います。話がだいぶ膨らみましたが、今日言いたかったことはただそれだけです。
posted by LG18 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 思うこと・主張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月04日

技術本位(下)

 「そこ狭いんで気つけてくださいね」
 物置小屋の奥へと入りこむように身を屈めて進むと、6畳ほど視界が開けた。夜逃げ直後の事務所のような、あらかた何も無い散らかり具合だった。壁も天井も煤けている。
 言われるまま、顔が映りきらないような極端に幅の狭い鏡で身支度を整え、椅子に腰掛ける。老人は三脚を構えて神経質にカメラをのぞく。しかしそれは一眼レフでないどころか、いわゆるバカチョンカメラであった。私はいつもあごを引くのを忘れて、間抜けた顔に写るのだ。そう思い出して、念入りにあごを引いた。

 老人は真剣にレンズをのぞき、カメラの位置を前後上下に忙しく微調整しつづけている。緑のベストを羽織っているが、いかにもフジカラーフィルムの支給品という色をしている。私は滑稽に思った。自分はなぜ、知らない町の商店街の外れの写真屋の奥の間の、こんな埃っぽいところですまし顔で鎮座ましましているのだろう。

 「はい、撮りますよ」
 フラッシュが光るまでは間があったが、私にとっては唐突だった。
 その一ショットきりだった。

 焼き増した方が割安なので、8枚焼いてもらった。老人はカウンターごしに写真を切る専用のものであろう見慣れない道具で、今出来たばかりの写真を一枚ずつ履歴書サイズに切っていた。ナイフが写真を切る音が狭い店内に延々響く。この道具もフジカラーの支給品かと、私は暗い店内に佇んでいた。ちょうど私が店に入ったとき、店主がそうしていたように。

 「確認してください」
 私は絶句した。あごをひきすぎて、顔も右に傾いている。どうにもガンを飛ばしているようにしか見えない。
 「枚数を」
 「あ、はい」
 料金を支払って、私は店をあとにした。何事もなかったように、雨は降り続いている。
 受験票に貼る分には使えるだろう。

***

 改めて写真を見ると、私が切るよりも斜めにいがんでました。ネガも無いし(要らんけど)。おそるべし技術本位の店。
posted by LG18 at 22:11| Comment(3) | TrackBack(0) | 日常・全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月03日

技術本位(上)

 証明写真を撮るならやはり機械より写真屋さんが良いだろう。そう考えて電車を乗り継ぐだけの駅に降り立ち、交番で尋ねて商店街の外れの写真屋へ立ち寄った。スーツ姿で時間の猶予があることなど、今の私にはそうそうないことなのだ。

 外から覗くと店内は真っ暗で、店の真中には自転車が止められている。そのすぐ右には服屋のバーゲンセールによく使われるワゴンが場をとり、アルバムや写真立てが「特価」と朱書きされて並べられている。店は閉まっているなと思いつつも一応扉を押してみると、あっけなく開いた。間抜けた電子音が間髪入れずに鳴りひびく。単音で「エリーゼのために」をなぞっている。私は扉が開いた勢いで中へと進んだ。

 「いらっしゃいませ」

 声のした方へ目をやると、左側にあるカウンターのやや奥の方に老人が一人佇んでいた。それはもう佇んでいたとしか書けないような佇まいであった。人がいるとは思わなかったので、驚いた。
 私が口を開くまで少し間があった。

 「あの、証明写真をお願いしたいんですけれども、こちらでは」
 「ええ、できますよ。どうぞ、おかけ下さい」
 「あ、ああ。失礼します」

 私は入り口際に置かれていた丸椅子に腰掛けた。
 「どうぞ、タバコでも吸ってお待ちになってください」
 見ると、すぐ傍に、カウンターに寄りそうように灰皿が立っている。
 「どうぞ。遠慮なく。吸わないですか」取調べでも受けているような気分だ。
 「ええ、あの、吸わないんで」思わずすみませんと言いかけた。
 「そうですか。ちょっとお待ち下さいね」そういうと老人は奥へ下がった。

 薄暗い店内にはいろんなものが置かれていた。色褪せた和服姿の田中麗奈、腰を曲げてショートパンツの眩しい笑顔は鈴木保奈美だろうか。状態が良ければネットオークションで高く売れるのかも知れないが、そのまま学芸会のお化け屋敷に使えそうな、青白い顔をしている。
 自転車とワゴンとアイドルの古びた大きな張りぼてとで、さして広くもない店内はカウンターの前の人一人通れる分しか空いていない。見上げると、棚には「○○分後に仕上がります」の札のかかった時計と「技術本位」と書かれた看板がある。ありきたりの看板に、妙に納得してしまった。

 「用意ができましたので、どうぞ」奥から声がした。

                                 (つづく)
posted by LG18 at 23:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日常・全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月01日

LG18 as it is

 湯船をアリナミンで満たして浸かりたい気分です。
posted by LG18 at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ひとこと・つぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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