2006年03月30日

君の不思議な夢のはなし

 一人の男と、その東西南北を塞ぐようにして四人の人間が立っている。一人の男を取り囲んでいる四人のうち、三人は女で、残る一人は男であり、それが自分である。東西南北というのは分かり易いように言っただけで、方位などは全く分からない。何も無い平面で、それぞれの距離は2、3mほどしかない。将棋の駒になって並べられたような感じだ。
 ――ふむ。それで?
 自分からみて正面に男が立っているが、その男とは初対面である。「会ったことが無い」と言わないのは、ここで会うことが予定されていた様な感覚がしたからだ。そして残り三人の女とはそれぞれ何らかの関係を持ったことがある。
 ――彼女だったということ?
 そうだったのも、そうでないのもいる。そのうち、一番問題のなかった女は自分から見て男の向こうにいて、ここから表情をうかがうことはできない。正確に言えば、いるという確信が自分にあるだけで、姿を確認したわけではない。
 ――それでしゃべり始めるのか
 その前に残り二人の女について、一人は自分がひどい仕打ちをした女であり、自分は今でもそのことを心底申し訳なく思っている。機会が認められないから謝罪はできていないが、できることなら一言謝りたい。一方、もう一人の女は自分がひどい仕打ちをされた女で、かつてはひどく傷ついたこともあったが、今は何でもない。むしろ良い経験をさせてもらったと思っている。ただ、当時、謝罪したいというようなことを人づてに聞いたが、それは認めなかった。謝罪したことで精算されるのは嫌だったから。
 ――それで何を話すのか
 中心にいる男もまた、残り三人の女と面識があるようで、それぞれの女について尋ねてくる様子だったように思う。自分はそれを、色んな意味でなるべく上手に伝えようとする。まずは上に喋ったこと(ひどい仕打ちをしたとかされたとか、それについて思うこと)から話そうとした。
 ――本人達がいる前で?
 それが、いざ話すときになると、姿は確かに見えるんだが、本当にそこにいるのかどうかが曖昧で疑わしいものに思えて、かえって不気味に思った。
 ――視覚よりも第六感の方が信憑性を感じられると?
 そのときはそうだったのだと思う。あるいは彼女達は透明の球体に包まれて、感覚を全て塞がれているとか、そういう感じに思えたのかも知れない。その状態で話し始めた。
 ――どんなふうに
 どっちにしてもあまり思い出したくない記憶だから、なるべくそれには触れないようにした。今から思えば、彼女達を良く伝えるのが目的なのか、自分のことを良く伝えるのが目的なのか分からないまま喋っていたように思う。
 ――具体的には
 それを覚えていない。
 ――なんだそりゃ。それでは話に――
 ただ、
 ――ただ?
 ただ、「いい人だったよ」という自分の声で目が覚めた。
 ――はあ。
 自分やったら、どんな風に喋る?
 ――え? いきなりそんなこと言われてもなあ。


posted by LG18 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常・全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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