でも正直面白かった。うまいなって思ったのは、あの話に出てくる人間が本当に居るってこと。キャラクターにリアリティがあるっていう、硬い響きじゃないのよね。強いて言えば、主人公だけ私は見たことない。でも母親から想像して考えれば、足が無いような存在ではないよね。キャロ…カカロットだっけ。
でもやっぱり漫画じゃないなあって思った。前に「シガテラ」の読書感想文を書いたとき、小説と漫画のハーフぐらいだって書いたけど、これは漫画とドラマのハーフぐらいだと思う。前半にとくに多いんだけど、ページ数とか心の声とか、古典どころか化石のような形式を踏むくだりは心底うんざりさせられたんだけど、ひょっとしたら形式だけでも漫画にしがみつきたかったのかもね。そうだとしたら、やっぱり少年(?)漫画より拘束の強いジャンルなんだろう。
ああ、そっか。違うよね。読者の目を気にしなきゃいけないから、男より女の方が他人の目を気にして、それに同調しなくちゃいけないから、どうしてもあんな風になるんだよね。ってカンジでもっともらしいこと書いとけばこれでOKだね。でも雑誌の宣伝はやりすぎてて痛いよ。「ごきげんよう」の小堺さんのライオンの宣伝より痛い。
あと、これが一番痛いんだけど、5巻はいらないと思う。別に4巻の終わりを正確に覚えてるわけじゃないけど、話全体のうち最後から1/5はいらない(まあ私はイザベラが好きで、最高の見せ場があったからまだ腹の虫もおさまったけど)。体裁を整えなきゃならないのなら、たとえば文化祭のあとのうちあげのとこで切れば良い。パラキスに限らず、そもそもなんで話を終わらせなきゃならないのかが良く分からない。古谷実はラストがとんでもなく下手だけど、それは全然関係ない。そういう話をしてるんじゃないの。
ああ、文句ばっかり書いてるみたいに思われるかもしれないけど、とっても面白かったよ? でなきゃこんな面倒くさい文体で書かないよ。ジョージには本当に憧れる。あんな最低な男になって女を振りまわして振りまわされたいと。あの母親(梢?)も本当に良い。でも現実に親があんなのだったら人生振りまわされるほど傍迷惑なのを、私は見た。視界に映るか映らないか、ギリギリの境で。だから単なる無いものねだりだ。電話したきゃすりゃいーじゃん? 私はそういう人間だ。
最後に、この漫画、一箇所だけ泣きかけた。どこだったかは秘密、というかどこだったか忘れた。
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煮え切らないんで最後に2つ。
1・イザベラかっこいー
2・この漫画と「ヒミズ」は同類項だと思う。4、5巻で終わるってところじゃなくて(笑)、どちらかが面白いと感じたらもう片方も面白いと思う、はず、という意味で。さあその理屈が男女の溝を埋められるか否か。私にはどちらも甲乙つけがたく、でもやっぱり同類に思えます。
明日上海へ飛びます。現地の友の言を信じ、着の身着のまま心のままで。何にも用意はしてませんが、とりあえず旅券だけはもって。
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