2006年05月26日

公務員・司法試験(択一式試験)の解法の極意

 小学生(2年か3年か)の頃、出したくもない出し物を出さされて、ネタもないのでベタに○×クイズなんかやったときのことを思い出します。私はそのうちの一問に「一年は356日である。○か×か」という問題を用意していたのですが、同じ班の奴が何を思ったか、「一年は700日である。○か×か」と読み上げました。私が思わずその場で「なんでそんなに多いんだ、馬鹿」とそいつを罵ったところ、そいつが言うには「(読み上げるべき)数字を忘れたからだ。どうせ×なんだから何日だって良いじゃないか」と開き直りました。
 そいつの顔は忘れましたが、このことは今も覚えています。

 公務員試験は主に選択肢を選ぶ形式の問題です。択一試験もまさにそうです。それぞれの選択肢について○か×かを選ぶ、ということを考えれば、これは○×クイズと同じことです。一年が何日であるかということについて、@365日と正確に覚えている人、A300何日だったとうろ覚えの人、B3桁ぐらいだろうという人、Cとりあえず数字を聞いてるんだなということだけは分かる人、D何を聞かれているかさっぱりわからない人、ぐらいにわけておきましょうか。とりあえず。
 私が作った問題は、A(以降)の人間を惑わし、間違えさせる意図を持った出題です。どうせ×なんだから何を言っても良い、というのでは、問題を出す意味がないことは明らかです。つまり、作成者は、どこかで受験者を間違えさせようという意図を持って問題を作るのです。当たり前のことですが、試験となると「1年は365日」という正確(ではないが、今はおいといて)な解答を(出題された全ての問題について)覚えておかなければならないわけではない(もしそれを出題者が求めるのであれば、記述式にするはずだ)、ということです(もちろん正確に覚えているに越したことはないが)。マークシートにしないと採点が大変だからだ、というのは、本質を誤った見方であって、仮にそれが理由であったとすると、数学の問題にまで選択肢があることの説明がつかない。センター試験みたいにすれば良いところを、わざわざ5択にしてある。これは(作成者にとっては)却って面倒な作業です。いかにも正解に見える誤答をわざわざ考えなければならないのだから。

 ちょっと感心してもらえたかもしれないところで去年の裁判所事務官の問題を解いてみます。

 ● わが国の選挙制度に関する記述として最も適当なのはどれか。

 1 現在の衆議院の選挙制度は小選挙区比例代表併用制と呼ばれ、衆議院の総定数500議席のうち、300議席は小選挙区で選出され、残りの200議席は、全国を11のブロックに分け、ブロックごとに定められた定数を、ブロックごとの得票数に応じて、ドント方式で各政党に議席が配分される比例代表制で選出される。

 2 平成9年に公職選挙法の一部が改正され、従来午前7時から午後6時までであった投票時間の一律規定が緩和され、投票時間が2時間延長されるとともに、各市区町村の事情に応じて、午前6時から午後7時まで、又は午前8時から午後9時までのいずれかを選択することができるようになった。

 3 選挙権を持つ在外邦人が選挙権を行使できるようにするため、平成10年に公職選挙法の一部が改正され、任期に定めがあり、公示日と投票日とを事前に予想することが容易な参議院の選挙区選出議員の選挙に関してのみ、在外公館投票制度が導入された。

 4 比例代表選挙において投票者が政党名簿内で候補者を選択することを可能にするため、平成12年に公職選挙法の一部が改正され、政党があらかじめ候補者に順位をつけず、投票者が政党名簿上のいずれかの候補者に投票し、その得票率によって当選順位が決まる非拘束名簿式比例代表制が衆参両院の比例代表選挙に導入された。

 5 仕事や旅行などで投票日に投票できない場合には、従来は不在者投票制度を利用するしかなかったが、平成15年の公職選挙法の一部改正により期日前投票制度が導入され、投票者が登録されている選挙人名簿の属する市区町村に設けられる期日前投票所において、投票用紙を直接投票箱に入れる方法により投票できるようになった。

 ……ああ、打つのだるかった。さて、勉強した人は一発で答えがわかるように作ってあるのですがそれはいいとして、知らなくてもかなり正解に近づくことができます。以下、私の解法を紹介します。
 まず1。500はいいとしてその配分やブロックの数まではわからないが、こんなところでひっかけようとするのは予備校ぐらいなもんだから(この程度の数字は)信じて良い(これは公務員を選ぶ試験であって、数字の記憶力が良い人を選ぶための試験ではない)。いかにも怪しいのは「ドント方式」。文章の構成からして、出題者の「ここが違うんだよ」という声が聞こえてきそうだ。×よりの△。
 次に2。延長されたことは有名だが、その先は聞いたことがない。恥ずかしながら去年の私はここでだいぶ戸惑った記憶があるが、聞いたことがない内容で戸惑うのは、勉強不足か、もしくはその意識が強いかのどちらか。聞いたことのない肢を選ぶな。正解だとしても(完全な消去法でないかぎり)実力ではないのだ。×。
 3。全く分からない。こないだ違憲判決が出たが、それに関係あるのかないのか。そもそも去年の時点では判決自体がなかったのだ。分かるはずがない。保留。
 4。これも1と同じ。平成12年ではなく13年、なんて問題を出すはずがない(もし出ても誰もわからないから気にしなくて良い)。そして最後の「衆参両院」が引っかかる。そうだったっけかな。あやしい△。
 5。これは覚えておかなければならない基本の知識をそのまま文章にしたものである、ということを私はつい先月学んだ。……ということを学んでなかったにしても、ドント方式や衆参両院のようなひっかけくさいワードもない。ここまできて3を見ると、どうも「参議院――のみ」とか「在外公館投票制度」とか、漢字ばかり並び過ぎだ。この問題で並ぶ(べき)漢字は「小選挙区比例代表並立制(併用制というのが正しいのか? 自民党か日本新党かの違いだろうが)」と「非拘束名簿式――」ぐらいだろう。たぶん5だ、5。となる。

 ドント式かキリバイ式かを知っている必要はないのだ。他の肢のどこがどう間違っているのか一つも分からないままでも正解することはできる。

 もう一問やろうと思ったけど、面倒だから(オイ)止めます。司法試験(択一式)と書いたので応用を個別的に触れておくと、たとえば憲法で「明治憲法においては――」という肢があるが、純粋に明治憲法のことしか書いていない場合、それは読まなくて良いと私は思う。明治憲法に詳しい人を選ぶ試験じゃなくて日本国憲法に詳しい人を選ぶ試験だと思うから。そんなものを読んでいる時間がもったいない。予備校の模試はそういうことを考慮せずに単に知識だけで問題を作るからいかん。「やはり本番とは違う」と言われるのはそのへんだと思う。
 予備校も、もちろん意図を持って問題を作ってるわけで、どういう意図かというと、「もし出たときに『的中!』と言える。それも他校にないような問題を作って、それがもし出たら『ウチだけ的中!』とハクがつく」という意図です。かくして問題(で問われる知識)はより細かく、よりトリッキーになっていく。公務員でも同じです。

 問題を解くよりも、ましてや正解を暗記するよりも、作成者の意図を推し量る。これが私が2ヶ月ほど勉強して得た極意です。ちなみに、このことを司法試験が終わってから書いたということに別段の意図はございません。○か×か(笑)
 試験は明後日。
posted by LG18 at 02:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 法律のはなし・受験記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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