2006年06月09日

10どころか次も怪しい第一夜。

 こんな夢を見た。
 髪を切りに行って、椅子に坐っている。あんまり眠いので、「もう寝てしまうよ」と、云った。床屋の主人は穏やかな調子で「もう寝ておしまいなさい」と、云った。自分は何だか、眠らないでいる気がした。鏡の奥に、自分の姿が鮮やかに映っている。もう一度、声に出して「寝てしまうから」と、云った。
 「御客様がお眠りになったら」主人は云った。「私は御客様の髪の毛を、一本づつ切っていきます」主人は自分の髪を指につまんで一本を選り分けた。自分は、眠るだろうと、思った。「髪を一本づつ、三回鋏を入れます。全ての髪が終わるまで、眠っていてください」自分はただ眠っていると答えた。「人間の髪はおよそ10万本といわれています。10万本切り終えるまで眠っていてください」主人は鷹揚に云った。辺りは暗くなった。鏡に映る自分の姿も見えなくなった。――もう眠っていることを知った。

 眠っている耳にも、主人が髪を選り分けて、一本につき三回、鋏を切る音が聞こえる。髪はすっと離れていった。髪を一本切り終えて自分は、一本、と数えた。また三回音がして、髪はつるりと切られていった。二本、と数えた。また一本、一本と数えているうちに、何本切ったか分からなくなった。足許を探ったが、10万本にはほど遠い。そのうちに、鋏を切る音が判然としなくなった。自分は主人が髪を切っていることを疑った。自分は主人に欺されたのではないかと、思い始めた。

 すると、暗がりの向こうに、仄かに自分の姿が見えた。それはゆったりと自分に近づいてきた。鏡に映して相対する距離まで近づいたとき、自分は、「もう十万本切り終えたんだな」と、気付かされた。
 鏡に映った自分は丸坊主になっていた。
posted by LG18 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常・全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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