2006年07月27日

名誉であることも確かだが……

 正露丸「図柄が異な」るとして請求棄却。→詳細

 どうなんでしょう。
 イヤ、8月に入ったらどうせ人が死ぬ話しかしないだろうし、今のうちに違う話をしておこうとか、あるいは、たまに訴訟の記事を読むと「そういや俺もかつてこんな勉強をしてたんだっけなぁ」と、急速に薄れていく記憶を懐かしく思い起こす、その一環で記事書いてるところがありますけども。

 コレは似てる(混同する)だろう。どう見たって。
 裁判所の論理では「@正露丸が各社似通っているのは今に始まったことではないから、ラッパのマークまで確認して初めて区別がつけられる Aラッパとひょうたんは別物だから、似てない。以上」ということのようです(@でパッケージの類似性を無視し、Aでマークについて形式的に切っている)が。
 問題は、それを原告が受け入れなければならない立場にあるのか、ということです。

 原告からすれば、名称の同一その他諸々の類似性(薬のビンのデザイン、薬自体の同一性)を敢えて我慢して、今回は腹に据えかねて、というところだったと思います。
 一方裁判所は、私の憶測では今回の請求を容認してしまうと、判例に反する(私の記憶では今回が初めてではない、はず)ということ。さらには勢いづいた原告が次々と訴え出して収拾がつかなくなると考えたのだと思います。
 ちなみに・・・裁判(とくに民事)は、実務においては筋や理屈よりも背景の事情や後の影響力の方が重視されがちである。とりわけ判例は絶対である。その証拠に、今回の要旨も「ラッパとひょうたんだから別物」という、およそ的外れな論理を用いているが、もちろんこれはわざととぼけているのである。つまり、ラッパとひょうたんは別だなんてことは始めから誰もがわかっていることであって、そんなことを尋ねるために裁判をやってるんじゃない。
 今回は法人同士の紛争なので、直接的には会社の利益のために争っているわけです。しかし、「正露丸といえばひょうたん印の――」なんていう人は聞いたことがなく、原告としては消費者が求めるものを正確に供給する義務を負っているという、社会的正義も担いでいることも確かです。もちろん、ひょうたん印の薬を出すことはそれ自体違法ではないが、あのパッケージは消費者を混同させる意図のもとに作られていることが明らかです(だから消費者が訴えれば勝てるかもしれない)。
 実際に混同するかどうかという点が争点ならば、混同しない(と考えられる)ならばどこまで類似しても問題ではないということになるが、混同させようとする意図に違法性があるという切り口でいけば、今回のは間違いなくアウトになる。

 いよいよ憶測でものを言いますが、正露丸の類似品が出回り始めた頃は、まだ消費者保護の意識が低かった(というより、無かった)から、はじめに訴えた頃は門前払いに近かったのだろう。それで負けが判例で確立されてから消費者保護とか企業倫理とかが謳われ出して、今回のケースはそれから行ったら確実にひっかかるけど、でも今に始まったことじゃないでしょ、みたいな流れじゃなかろうか。

 でも、そろそろ勝たせてあげないと、「ラッパとクラリネットは別物」「トランペットとトロンボーンは別物」「ラッパではなくスポットライトだから別物」「大幸薬品と大辛薬品は別会社」……キリがなくなるよ。

 私も腹が弱く、「偽物」を飲みますが、それは安いから。本物の方がよく効きますよ。やっぱり
posted by LG18 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 法律のはなし・受験記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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